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icanof banner ■ICANOF代表
  米内安芸
■プロデューサー
  三浦文恵
■キュレーター
  豊島重之

www.hi-net.ne.jp/icanof/
mail:icanof@hi-net.ne.jp

■ICANOF事務局
青森県八戸市古常泉下14-18
〒031-0022
Tel 090-2998-0224(高沢)
Fax 0178-45-9247
mail:icanof@hi-net.ne.jp
【 ICANOF アーカイヴ 】
- ICANOF Archive Materials -



せんだいメディアテーク(smt) ルポルタージュ
「場(smt)と場(ICANOF)のヴァイブレーションを求めて」


米内安芸・佐々木邦吉・豊島重之・米内荀子
採録:宮崎睦子(ICANOFディレクター) 



smt館内smt館内smt館内



(1)吹きぬけのチューブがまるで海遊館。
豊島重之
(ICANOF
 キュレーター)


ICANOFの5人で「せんだいメディアテーク」を見学してきました。ICANOFにとっての関心は三つあります。一つは建築物としての魅力、いわば住環境のアート。二つ目は映像メディア。最先端のデジタル・イメージから、昔懐かしい生活に密着したアナログ・イメージまで、あらゆる映像のメディア・アーカイヴ(情報センター)である点。第三に新しいコミュニティの創造。この建物ができたことによって、地域も含めて、人々の流れがどう変わっていくかとか。この三つとも今の八戸に欠けているものだし、それを掘りおこしていくのがICANOFの主旨でもあるわけですから。じゃ、まず、建物の印象から。
米内荀子
(ICANOF
 ディレクター)
私は安らぎというか、自然に溶けこめる感じがしました。外観は全部ガラスで、何か特別な感じがしない建築なんですけど。そのガラスが水の色というか、昔よく見かけた薄緑色のガラスで、中に入ってみると水の中にいる気がして。しかも柱がなくて、その代わりに、吹き抜けのチューブが建物を支えている。そのチューブを通して、上の階から下の階を動いている人が見えるし、もちろん下の階からも上の階が丸見えなんです。まるで魚がうようよ泳いでいる感じなんですよ。私、魚座だから、もともと水が好きで、よく各地の水族館にも行くんですが。とくに大阪の天保山にある「海遊館」、ここは巨大な丸いドームになっていて、上からずーっと人々が回遊しながら、海の底まで下りていく。メディアテークはそれにとっても類似していて、ああ、それで、こんなに安らぎを感じるのかな、と思ったんですね。
佐々木邦吉
(ICANOF
 ディレクター)
私は逆で、ガラスだけで覆われた外観、しかもチューブ構造で柱がいっさいない。一瞬、後じさりしてしまいました(笑)。近寄ったら、刺される、って感じ(笑)。図書館の階も確かにくつろげる空間にはなってるけど、エレベーターの配置もバラバラで、エスカレーターも一周しなきゃ次の昇り口に行けないつくりになっている。アーティストにとってそれが妥協ということになったとしても、利用者の意図を優先すべきなんじゃないかって思いました。
豊島 利用者にもっと能動的に「使ってもらおう」という意図なんじゃないかな。バリアフリーも抜かりなくやって、その上で、バリアフリーからも一歩突きぬけた考え方なんだと思うよ。この間、視聴覚障害者で初めて東大教授になった方も新聞に書いてたけど、バリアフリーという考え方にすでにバリアがあるんだと。つまり、バリアからフリーになるだけじゃなく、バリアフリーからもフリーにならなくちゃいけない、ということですよね。「ハンズ・オン・モデル」という障害者向けの立体ガイドマップがあったじゃないですか。あれって、我々からみても結構シャレてるし、実際、目をつむって触わってみて、空間イメージが大いに楽しめたし。

(2)この建物だけで一つの「まち」、新しいコミュニティ。
米内安芸
(ICANOF代表)


私が一番興味をもったのは、最新の技術を駆使した建物なのに、至るところに伝統的な職人の手仕事を導入している、ということでしたね。チューブというのは、柱じゃなくて、細いパイプを組み合わせた空間なんです。それが、上からビジョッと圧しつぶした感じに、色々な方向にひねってあって、そのひねり具合で上手に強度を持たせているようなんですね。それに各階のフロアの厚さ40センチでしたか、驚異的な薄さですね。それを水平に保つために、造船職人を頼んで、鉄板の接合に「ゆらぎ」を持たせたとのことでした。耐火耐震を考えれば、職人の勘が一番あてになるわけですね。それを聞いて思い当たったのが、金閣寺の内部の漆塗りの技術。あれ、0.1ミリ単位で研ぎだすという手わざで、しかも、なんの狂いもなく。そういう「職人わざ」を使ってでなければ、最新のものもできないってことがあるんだな、と思いました。
米内荀子 各階の椅子のデザインがどれも違っていましたよね。コンクリートみたいな固い椅子だと思って座ってみると、とっても柔らかくて、フワッと沈む、その体感がすごく面白かった。
米内安芸 ヒトラーが自殺した部屋の写真があるんですよ。その部屋の革のソファーには、彼が自殺するに至った背景とか、その当時のドイツの歴史までも写りこんでいる、そう思ったことがあって。そういう固い革のソファーと正反対のイメージですね、椅子だけじゃなく、メディアテーク全体のつくりが。
佐々木 とにかく壁が一つもない、なんのバリアもない。各階のカウンターもオープン・スペースになっていて、普通はカウンターの中って入れないじゃないですか。ところがスタッフの前も後ろも利用者が自由に歩きまわっている。我々が行った日は、たまたま1Fで筑紫哲也の講演会があってパーテーションで仕切られていたけど、普段はそれも、とっ払ってあって、しかも外に面したガラスも開放しちゃうって話でしたよね。
米内安芸 まったくのガラーンとした空間。
豊島 街を歩いている人がそのまま、メディアテークの1Fを通り抜けできちゃう。
佐々木 図書館とか美術館じゃなく、公園だよね。公園だと考えると、あの外観のガラスって、ハナから要らないものだったわけでしょ。もともと素通しの空間を創りたかったんじゃないかな。バリアフリーうんぬんじゃなくて、単純にオープンなスペースですもんね。
米内荀子 みんな思い思いにやって来ては、思い思いに楽しんでる。このメディアテークそのものが、「ひとつの街」なんじゃないかしら。

(3)何か「見に」くる所じゃなく、一日ブラリと「居る」所。
豊島


1Fに渋谷のナディフとクレプスキュル(薄明)が出店していて、そこでベルギービール飲んでた時、ほら、ガラスの外を人が往き来してるように錯覚したんだけど、実はガラスのこっち側を歩いてたんですよね。
米内安芸 なだらかな坂になってましたね。でも、あれは、道路の向こう側の坂と勾配が違ってる。手前の坂を「外」に見せるために、わざわざ、実際の坂と角度を変えて、新たに造った道路なんですよ。なるほど、考えてるもんだなぁと。
佐々木 チューブと同じコンセプトですね。内部に「外」を繰込んでいる。外縁を成しているけど、パティオ(中庭)みたいな扱いなんですよ。
豊島 映像はどうでしたか? 最先端のメディア・アート展と、仙台屋四郎っていう福の神の、伝説的な写真なんかが列挙された、19世紀以降のメディア・アート展の両方同時に開かれていて、ひと粒で二度おいしいって感じでしたが。
佐々木 いや、それよりもっと面白いのを7Fのスタジオでやってたんですよ。
米内安芸 あれはすごかった。あれは1時間でも2時間でも見ていたかったな。
佐々木 CMとか色々、断片的な映像メディアをアッサンブラージュ(集積)させたもので、あれは何度見ても飽きない。
米内安芸 飽きる飽きないで言えば、このメディアテークのつくりは、私だと、なんか飽きてしまう気がする。もちろん別の使われ方が、これから考えられていくんでしょうが。
佐々木 「見る」とか「使う」っていう感覚より、「居る」っていう感覚を大事にしてるんじゃないかな。ここに来て、一日ブラブラしていられるっていうこと。それだけでいいような気がしましたね。
[2 March 2001]

(ICANOF free press 01 より転載)



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