カルマンの渦列

「川に杭が打ってあるところを考えよう。川の流れが緩やかであればさっきの説明のように双子の渦ができるね」

「ええ」

「でも、流れが速いと、下流(杭の後)の流れが不安定になって、そのうちどちらかの渦が流されてしまうんだ」

「じゃ、片方だけになるの?」

「うん、だけどすぐまたそこに出来るね。その頃こんどは反対側の渦が流される」

「あ、そこにまた出来る頃、さっきの方がまた流されるのね」

「そう。だから川には二列の渦規則正しく流れて行くんだ。これを研究した人の名を取ってカルマンの渦列とかカルマン渦とか呼んでるんだよ」

「規則正しく?」

「うん。カルマンは一つの列の渦と渦の間隔は、二つの列の間隔の約3倍ちょっとだということを示すを発見したんだ」

「わ−、凄いのね。私、川でお魚が行儀良く並んで泳いでいるのかと思ったことがあるわ」

「それは愉快だね。ところで、このような渦はいろんなところで見られるよ」

「例えば?」

「例えば,鳴門海峡。あそこでは速い潮流と複雑な地形で、いろいろな渦が発生するんだ。 観光資源になってるよ。それから眼には見えないけど、空気の流れでも同じことが起こるよ」

「どんな場合に起こるかしら」

「風が強い時、電線がピュ−ピュ−鳴るでしょう。 あれは電線の下流にできた渦列のために空気が振動して、音を出しているのさ」

「じゃ、笛も?」

「そう。この振動が笛の固有振動に共鳴して大きな音を出すんだね」

「コユ−シンドウニキョウメイ?」

「そう。そのことはまたいつか振動楽器の話をするときに説明するよ」

カルマンの式はいつでも成り立つの?」

「ほとんどの式には、成り立つ範囲と言うものがあるね。水や空気が静止していて、そこを移動する物体の速度を少しずつ上げて行くと、

速度が十分小さいと、渦もなく滑らかに進むことができる。

少し速度を上げると、物体の後に双子の渦ができて、 物体を引き戻す力が少し働く。

更に速度を上げると、物体の後にカルマン渦ができて、物体を引き戻す力が更に働く。ここがこの式の守備範囲だね。

更に速度を上げると、物体の後の流れが不安定になり、物体を引き戻す力が大きく働く。これを乱流とか、空気の場合は乱気流とも言うんだ」

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