HOME
EXHIBITION
GEIDAI
EVENT
ARCHIVE
PUBLICATION BBS
LINK













                                                                     


HOME/新着情報
メディアアートショウ
八戸芸術大学
イヴェント情報
ICANOFアーカイヴ
ICANOFの刊行物
BBS
リンク

ICANOFの図録・写真集
・ICANOF Media Art Show 2004
・ICANOF Media Art Show 2002-03
・ICANOF Media Art Show 2001

icanof banner ■ICANOF代表
  米内安芸
■プロデューサー
  三浦文恵
■キュレーター
  豊島重之

www.hi-net.ne.jp/icanof/
mail:icanof@hi-net.ne.jp

■ICANOF事務局
青森県八戸市古常泉下14-18
〒031-0022
Tel 090-2998-0224(高沢)
Fax 0178-45-9247
mail:icanof@hi-net.ne.jp
【 ICANOF アーカイヴ 】
- ICANOF Archive Materials -



映画の中の写真
亀本光弘(ICANOFアートディレクター)



その1

亀本光弘氏 近影

 写真が使われている映画について考えて、まっ先に思いついたのは、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」だった。この映画の原題は、BLOW-UP。まさに写真の引き伸ばしのことだ。 しかし、最近ではアントニオーニ監督を知る人も少ないだろうから、もう少し新しいものはないかと考えているうちに数年前に見た「スモーク」という映画のことを思い出した。

 この映画は、ニューヨークのブルックリンにある煙草屋が舞台で、そこに集まる人々のエピソードを綴った、ちょっと短編小説集を思わせるものだった。

 その店のなじみ客にポール・ベンジャミンという作家がいて、ある時その煙草屋の店主オーギーが写真を撮っていることを知り、見せてもらうエピソードがあって、そのシーンが実に良かった。

 その4千枚以上もの写真は、毎朝同じ時間に同じ場所で撮られたもので、日付順にきれいにアルバムに貼られていた。ポールにとっては、どれも同じような写真に思え、アルバムをめくるスピードは、次第に速まっていく。そこでオーギーは、言う。ゆっくり見なきゃダメだ。同じような写真でも一枚一枚全部違う。

ちっぽけな街角の風景に過ぎないが、そこではいろんなことが起っている、と。

 ポールは、ゆっくりと写真を見始める。映画の画面には、街角を行きかう人々の顔や様々な光景の写真が大写しになる。映画を見る者もまた、丁寧に写真を見ることになる。

 そうしているうちにポールは、ある一枚の写真に釘付けになる。そこには、数年前銀行強盗事件に巻き込まれ、犠牲者の一人となったポールの妻が写っていた。オーギーは、ポールが妻の死の痛手から立ち直れずにいることを知っていて、そのアルバムを見せたのだった。写真を介してポールとオーギーの間になにものかが共有され、彼が癒されるきっかけとなる味わい深いシーンだった。

 その感情をもたらすものは、ある世界を切り取って断片として記録する写真の力なのか。または、断片の連続によってある世界を成立させる映画の力から来るものなのだろうか。ぜひこの映画を見て各自で確かめて欲しいと思う。

 オーギーの“写真を見る時は、スローダウンしなければダメだ”という、アドバイスをも含めて。


「スモーク(SMOKE)」1995年作品
 監督:ウェイン・ワン
 脚本:ポール・オースター
 出演:ハーベイ・カイテル、ウィリアム・ハート他



(図録 "ICANOF Media Art Show 2001" より一部抜粋)



Copyright © 2001-10  ICANOF  All rights reserved