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写真と詩法──『風の配分』のコラボレーションについて
野村喜和夫(詩人)



 私たち私とles KiKi氏とは共同した。『風の配分』は私の100あまりの断章とLes KiKi 氏の写真作品16点から構成されている。共同までに私はもう『風の配分』のかなりの部分を書いていたが共同はけっして事後のようには思えなかった。さきほどのふたつの逃走の線がどこかで運命的に出会ってしまったというような共同であってつまり出会う前から共同していたような共同であった。

 言い換えれば私は写真へと逃走しles Kiki氏は詩へと逃走していたのか。いずれにもせよまず物語や映画から逃走するということはおよそ現代においては割の合わないことだがそれでも逃走しようというのだからよほど差し迫った事情があったにちがいない。ほとんど生理のような。

© Les KiKi

 物語や映画は意味のシステムがそれとしてふつうに空気のように流れることだからそれに逆らうということはその流れを切断していまここの固定性不動性にこだわることだ。奇妙な言い方だが逃走とは固定性不動性への逃走でありいまここに凝りかたまりいまここというすすまない瞬間の無限のゆらぎになかに逃走してゆくのである。

 なぜならば固定されるわけがないいまここが固定されるという矛盾においてこそ事物は事物のようにみえてしまうのであり言葉は言葉のように生きられてしまうのであってそんなことをしたらシステムは壊れてしまい人は狂ってしまう。でもすてきなのだ。そしてすてきは生理である。そのようにして私たちは共同した。あるいは互いが互いを翻訳した。私たちにおいて意味を移し合うということは全く意味のないことである。もしそれが翻訳であるとすれば詩と写真はなにも翻訳し合わない。写真をみながら詩を書くとか詩を読みながら写真を撮るとか全く全く無意味であるしles Kiki氏はその制作のとき私の詩を読まなかった。私も私でその詩作のとき彼らの写真をみなかった。

 そうではなく欲望したのだ。写真はイメージであり詩はテクストであるとされる。もしもまるごとそれを肯ってしまうなら共同はありえないだろう。共同という名の翻訳はありえないだろう。写真はイメージであり詩はテクストであるとするなら共同とはその逆つまり写真は詩であってイメージではなく詩は写真であってテクストではないと欲望することなのである。そこまで深く差し違えなければ共同もむなしい。

 さきほど詩は物語からの逃走であり写真は映画からの逃走であると述べたがつまりより正確には詩はテクストからの逃走であり写真はイメージからの逃走である。

 だって詩はテクストであることに自足してしまったらそれこそつまらないテクストとなってしまうしles KiKi氏の写真のなかに在るほらあの不動のまま流れ落ちる窓の水滴あの雲間を行く虫のように不動な飛行機あれこそは詩なのだと欲望するかぎりにおいて詩なのである。同様にles Kiki氏の作品も一見アートを志向しているようにみえるけれど実のところ詩を書くように写真を撮っているにすぎないのかもしれないではないか。

 そうしてその逃走においてその逃走の極限において似ている姿を映し合うことが翻訳であるとするならば詩と写真は全く全く翻訳の関係にある。

 でなければ郷愁の関係にある。

 愛の関係にある。

(図録 "ICANOF Media Art Show 2001" より一部抜粋)



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