ICANOFメディアアートショウ
ICANOF Media Art Shows 2001-2010
ICANOF 第9企画展 『Blinks of Blots and Blanks(略称BBB)展』
ICANOF 9th Media Art Show 2009 "Blinks of Blots and Blanks "
by photographs and digital images
「BBB展」展評

露口啓二『地名』展示風景(八戸市美)
photo by ICANOF
《見えることと見えないことの明滅》
八角聡仁
八戸市民有志による「市民アートサポートICANOF(イカノフ)」の企画展が今年で第九回を数えた。決して規模の大きな展覧会ではないものの、その先鋭的なヴィジョンは既に広く知られており、毎年新たに打ち出される刺激的なコンセプトと時宜を得たプログラムに注目する芸術家やジャーナリストは少なくない。必ずしも生活の中にアートが根付いているとは言い難い日本の地方都市にあって、市民の自発的なイニシアティブでこうした活動を持続することは、さまざまな意味で容易であるはずがなく、おそらく目に見えないところで積み重ねられているに違いない関係者の尽力にまずは敬意を表したい。
目に見えることと目に見えないこと、それは今回の「Blinks of Blots and Blanks」(通称BBB展)と題された展示の内容とも関わっている。イカノフ企画展で一貫してその中心に置かれてきた写真というメディアの本質的な可能性は、人間の目には見えていなかったものを見せることにあった。八戸市美術館の壁面を埋めつくすように展示された写真家・露口啓二の三百点あまりの作品は、いまや日常的にも、そして美術館という空間においてさえあまりに「自然」なものとなった写真を、言葉=タイトルを伴った「作品」という人工物を通して内側から批判的に検証している。それはイメージの滲み(残像の揺曳)によって、映画がまさしく可視と不可視の明滅によって成立していることを喚起する詩人・吉増剛造の「gozoCiné――エッフェル塔(黄昏)」にも通底する。題材の隔たりにもかかわらず、両者の作品が「水」と「地名」を重要なモチーフとしていることは偶然ではない。写真や映画は、「川」や「雨」ではなく「水」を(すなわち「見ず」を)、その物質と運動を見ることを促したからであり、地名とは自然と文化の間のズレを指し示しているなにものかだからである。

吉増剛造『エッフェル塔(黄昏)』常設上映・画像展示(八戸市美)
photo by ICANOF